ポーカーの話
僕も一応男だ。男のロマンの何たるかは理解しているつもりだ。
つまるところは、ギャンブルである。
馬券を買ってモツ煮込みをつつきながら、ではいけない。スーツでビシッと決めて、薄暗いカジノで寡黙にトランプをさばく。これである。
「俺もやってみてえ」と、幼い俺はよく考えた。
どうにか未成年でもできて、スリルと脳汁をいっぺんに楽しめる方法はないか、と。
何しろ麻雀もやらない家庭である。そういう類の遊びととにかく縁がないのだ。
で、友達とやるのが一番無難だという結論に至った。2chで「クラスでシャー芯を通貨代わりにしたギャンブルが流行った」というコピペを見たのもあったのかもしれない。
トランプはあった。次に必要なのは、チップだった。
こういうのである。
かっこいい。これを山のように積み上げて、他のギャンブラーたちから「一体何者なんだ?あの新入り......」って言わせたい。
ただ、売ってる場所がわからなかったので親にダメ元で聞いてみることにした。
「なあなあ、ポーカーのチップ買ってや」
「いいけど、どこに売ってるの?」
「知らん だから聞いてる」
「まあアマゾンで探してみようか 何でもあるからねえ」
あった。
人生ゲームやろうってんじゃねえんだぞ。